「初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」の意味は?

2019-05-03加筆(新しいことが分かり次第加筆しています)
2019-04-02投稿

「令和」の帯つきの万葉集、入手しました♪

*ご留意事項*・・・この記事は、個人で楽しく読み解いていこうという趣旨で書かせていただきました。本で確認しましたが、著作権等の関係もありますし、丸写しではございませんm(_ _)m

令和の出典は万葉集から。読み方は?

昨日、新元号「令和」が発表されましたね。

今回は、「初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」意味を自分なりに分かりやすく現代語訳してみることにしました。

新元号の出典は万葉集

令和の出典は万葉集からであると公表されていますね。具体的にどのような部分か、まずはおさらいしてみました。

初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす

白文:于時初春月氣淑風梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香

読み:しょしゅんのれいげつにして、きよくかぜやわらぎ、うめはきょうぜんのこをひらき、らんははいごのこうをかおらす

これは、万葉集の梅花(うめのはな)の歌三十二首の序文の一部にあたります。

※2019-04-26加筆

読みに関してですが、「角川ソフィア文庫」さんのビギナーズ・クラシックス日本の古典「万葉集」では、少し異なっていました。

・鏡前の粉(ふん)を披く

・蘭は珮後の香を薫(くゆ)らす

といったふうに・・・。訳し方がどのくらいかみ砕いてあるかで異なってくるのでしょうか?この辺りも分かりましたら加筆します。

梅花(うめのはな)の歌三十二首并せて序とは?

では、この序文とは何でしょうか?

730年の初春、九州は大宰府(太宰府)の長官(役人)である大伴旅人の邸宅にて「梅花の宴」というものが催されました。太宰府は福岡県ですね。

そこで詠まれた歌32首につけられた序文が梅花(うめのはな)の歌三十二首の序文という訳です。

実は、「初春の~」の直前に、その説明がされていました!序文の冒頭部分にあたります。

該当箇所:天平二年正月十三日に、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。

白文:天平二年正月十三日、萃于帥老之宅、申宴會也。

読み:てんぴょうにねんしょうがつじゅうさんにちに、そちのおきなのいへにあつまりて、えんかいをひらく

天平は、西暦729年から749年の元号です。奈良時代(710年~794年)の全盛期で、天平文化が花開いた頃です。

陰暦の正月なので、現在では2月4日にあたります。

奈良時代の全盛期、初春に催された宴で詠まれた歌(32首)の序文のことなのですね。

元号の出典は初めて日本の古典から

今回、初めて元号の出典が日本の古典となったことにも注目されていますね。これまでの元号は、すべて中国の古典(=漢籍。漢文で書かれた書籍のこと)から引用されてきたのです。

ちなみに梅は8世紀(奈良時代以前)頃、中国から伝わってきたと言われており、万葉集が編さんされた時期は、まだ中国から入ってきて間もない時期です。このあたり、中国とのつながりもあり、より深みを感じます。

皆さんもニュースなどで目にしたことと思いますが、安倍総理は新元号について「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。梅の花のように、日本人が明日への希望を咲かせる。」という思いを込めたものであることを語っていました。

万葉集とは。早くも令和効果で品切れ!


万葉集を取り寄せようと思ったら、売り切れが続出していました・・・(^^;) 令和効果でしょうね。早くも新元号の経済効果が起こり始めています。(画像はkindle版。万葉集・現代語訳付

万葉集とは、7世紀後半から8世紀後半にかけて(つまり1200年も前に)編さんされた日本に現存する最古の和歌集です。

その特徴として、天皇、皇族、貴族のみならず、下級官人、防人(さきもり)、農民まで幅広い身分の人々が詠んだ歌が、4500首以上も集められているということがあげられます。

では、具体的に「初春の令月にして・・・」の部分はどういった意味を持つのでしょうか。自分なりに訳してみました。

「初春の令月にして…」の意味を分かりやすく知りたい

意味を自分なりに分かりやすくしてみました。(※自己流に楽しんで書きました。テストやレポートには使えません!ご注意を。)

初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして

 初春の よき月に(令月は、陰暦2月の異称でもある。現代の2月下旬から4月上旬にあたる。※正月と訳している本もあり。)

気淑(きよ)く風和(やわ)らぎ

 気持ちよく(←気分ではなく気候の良さ?)風は和らいで

梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き

 梅は鏡の前でお粉(おしろい)をはたく女性のように白く美しく咲き

蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす

 蘭の花は香り袋のように薫っている*

つまり、

「初春のよき月(新春正月)に、外気はよく風は和らいで、梅は【美人の?】鏡の前のおしろいのように咲き、蘭の花は香り袋のように薫っている」

という感じでしょうか?

(*蘭は~の箇所がかなり曖昧なのですが、調べても細かな解釈に関してはまちまちでした。詳細は次章以降で!)

いずれにしても、初春のよき日の穏やかで美しい情景が浮かんできますね。梅の花は、白、ピンク、紅など色々ありますが、ここでは白い花(白梅)が詠われています。

梅は寒さがまだ厳しい中で花開き、一番に春の訪れを感じさせてくれる花です。

しかし、宴が催された2月は、九州とはいえまだ梅が満開の季節とは言えません。ほのかに咲き始めた梅にそれぞれの想いを馳せながら詠んだのではないでしょうか。

散る白梅を雪に見立てた歌も収録されているのですが、季節的に散るには早く、もしかしたら本当に小雪が舞っていたのかもしれませんね。

※2019-04-04加筆

珮後(はいご)の意味は?分かりやすく!

自分自身が「珮後(はいご)って何?」とイマイチしっくりこなかったのでもう一度調べなおしました!

実は「珮後(はいご)」では辞書に載っていません。

」という漢字を単独で見てみましょう。(参照:コトバンクmojinavi

「珮」とは

[音]ハイ(漢) [訓]おびる はく  おびだま

1.腰に付ける飾り。帯につける飾りの玉。古代の装身具のひとつ。腰帯とそれにつりさげた飾りなどの総称。

2.身に帯びるという意味。

3.心にとどめて忘れないこと

おそらく、1や2の意味が有力でしょう。

※2019-04-04加筆修正あり・・・「珮後(はいご)」の「後」は「うしろ」という意味ではないようです!難しいですね。

※2019-04-19加筆あり・・・「万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)」によりますと、

「蘭は珮後の香を薫らす」の部分は、

「蘭は香り袋のように香っている」

と訳されていました。

ここで全文をご紹介する訳にはいきませんので、ご興味のある方は、「角川ソフィア文庫」さんのビギナーズ・クラシックス日本の古典「万葉集」をご参照くださいね。

「披(ひら)き」「披く」の意味は?

披[音]ヒ(呉)(漢) [訓]ひらく(参照:コトバンク

1.閉じてあるもの、畳んであるもの、綴じてあるものなどを広げる(開く)こと

2.あばく、打ち明ける、手の内をひらく

「披露宴」の「披」の字ですね。

梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)きの部分は、

梅は鏡の前でお粉(おしろい)を開くように咲き・・・、おしろいは女性が使う物であり、花の美しさを愛でていることから、「美人がおしろいをはたいている様子に例えられている」といった感じでしょうか。

※2019-05-02加筆

珮後の香が再現!?どんな香り?

加筆だらけで少し読みにくいかと思いますが、ご容赦ください。新しい情報です!

『太宰府「令和」熱続く 展示館3万人超 匂い袋も販売へ [福岡県]』・・・西日本新聞のオンラインより

なんと、万葉集序文に登場する「珮(はい)」(匂い袋)をギャラリー経営者ら市民有志が再現したのだとか!

その名も「珮後香(はいごこう)」!

5月1日からの受注販売だそうです。太宰府天満宮の参道近くにある、「蛇の目うさぎ(じゃのめうさぎ)」さん。

「日本の伝統に育まれた和の文化を今の時代にお届けする手作りにこだわった和雑貨屋」とのことです。(HPより)

 

蘭の意味は宴?蘭の香りと「それぞれの花」

蘭の花はどんな薫り(香り)か

ちなみに、蘭の花の香りとは一体どんなものでしょうか。(※今の蘭とはまた大きく異なるようです!)

現在出回っている胡蝶蘭は、一般的に香りがあまりありません。強い香りがないからこそ、開店祝いなどにも用いやすいという側面があるようです。

蘭は宴という意味かも?

ここでの「蘭」は宴を意味するという説もあるようです。

というのも、「梅花の宴」は、王羲之(おう ぎし)が催した「曲水の宴」が踏まえられていると言われているそうで・・・。王羲之は、書道史上、最も有名な「蘭亭序」を書いた人物です。

永和9年(353年)3月3日、書聖と称された王羲之が曲水の宴を催したが、その際に詠じられた漢詩集の序文草稿が王羲之の書『蘭亭序』である
(出典:Wikipedia 曲水の宴

仮に蘭が宴を指すとしたら、現代語訳は、

「宴の席は、腰飾りの香り袋のように、薫り漂っている」

という感じでしょうか?む、難しいですね・・・。

「宴席は、高貴な人が身につける香り袋のように香っている」といった訳をされている人も多いです。

また、梅や蘭の花の美しさ、香りのよさを詠まれた歌として、「それぞれの花を咲かせる」という意味で解釈している人もいらっしゃるようです。現代的ですね。

※2019-04-04追記・・・間違っている部分をご指摘いただき、修正しました。専門家の方かと思います。(先生であれば教わりたい・・・と思いました^^;)ありがとうございました。

九州は太宰府の地で祝賀ムード

※2019-05-01加筆

連休を利用し、九州は福岡、太宰府天満宮へ行ってまいりました。国旗と共に、祝令和の のぼりがあちこちではためいていました。

祝令和 令和の出店となった万葉集の一節は太宰府の「梅花の宴」で詠まれた三十二首の序文です。

立ち寄った老舗の菓子処では、令和の刻印がある和菓子をおまけに付けてくれました!今日だけだったのかも?

店内は広くはないのですが、季節の花も生けてあり、店員さんも感じがよく、また行きたくなるお店でした。

太宰府天満宮御用達 梅園菓子処さんです。ありがとうございました。